アーセナルの試合を毎節レビュー
当記事をお読みいただきありがとうございます。
このブログでは、
ヴェンゲル政権末期からのグーナーが、
プレミアリーグでのアーセナルの試合結果を毎節レビューしていきます。
忙しくてなかなか試合をフルで観られない人でも、
この記事を読むだけでアーセナルを中心にプレミアリーグのトピックスがフォローできますので、
ぜひご一読ください。
今回の試合は、
2022-23シーズン・プレミアリーグ第8節、
ブレントフォードvsアーセナルです。
アーセナルは「復讐」を果たした
この試合を一言で表すなら、
アーセナルは「復讐」を果たした、となります。
ここでいう「復讐」がどういう意味か、
昨シーズンのアーセナルを観ていた人はすぐに気が付くのではないでしょうか。
そうです。
21-22シーズン、
悪夢の開幕3連敗の始まりの試合です。
開幕戦でアーセナルは、
昇格したばかりブレントフォードのホームに乗り込み、2-0の完敗を喫しました。
その屈辱から1年の時を経て、
アーセナルは強くなって帰ってきた。
そのことを強く実感できたのが、
今回の試合となりました。
ここからは、そんなブレントフォード戦の展開を振り返るとともに、
試合のトピックスや今後の展望について書いていきます。
まずは試合展開です。
0-3での完勝!
スタメン・試合結果は以下リンクから。
Read about Brentford v Arsenal in the Premier League 2022/23…
エリザベス女王の死去を受けて
第7節のエバートン戦が延期となったため、
約2週間ぶりとなったプレミアリーグの試合。
この期間に負傷離脱していた
トーマス・パーティが復帰を果たし、
この試合でスタメンに復帰しています。
また、ウーデゴールが負傷した穴を埋めるのは、
ELで印象的なプレーを見せたファビオ・ヴィエイラ。
この試合より前にマンチェスターシティは
アウェーのウルブズ戦に勝利しており、
アーセナルは首位キープのためには負けられない状態です。
対するブレントフォードは、
アーセナルを警戒してか、
3-5-2で守備的な試合の入り方を見せました。
序盤のアーセナルは、
ボールをもって試合の主導権を完全に握りながらも、
ブレントフォードの5-3-2のブロックにてこずります。
相手の守備ブロックの
攻略の糸口を見いだせない時間が続く中、
試合に変化が起きたのが開始17分。
サカの低く巻いたコーナーキックに、
巧みにニアに入り込んだサリバが頭で合わせたボールがネットを揺らしました。
堅く守るチームを相手に、
先制点を奪うことに成功したアーセナルは、
そのまま試合の主導権を握り続けます。
先制点から10分後、
ブレントフォードのブロックを完全に攻略して生まれたのが、開始28分のジェズスのゴール。
左サイドのティアニーからボールを受けたジャカが、
ここしかない!という絶妙なクロスをエリア内に放り込むと、
ガブリエル・ジェズスはブレントフォードのCBヤンソンを出し抜いてのヘディングシュート。
0-2となるゴールを決めたジェズスは、
笑顔で電話を掛けるゴールパフォーマンスと、
謎のダンスパフォーマンスを披露。
このダンスパフォーマンスは、
レアル・マドリードのヴィニシウスへのサポートを意味するものだったようです。
アーセナルはそのままリードを保って前半を終え、
ハーフタイムでの選手交代もなく後半へと折り返しました。
後半に入って早々、
サプライズなゴールが決まります。
49分、右サイドでサカがカットインしたところから、
ボールを受けたファビオ・ヴィエイラ。
ゴールまではまだ距離がある中、
ブレントフォード守備陣の寄せが甘くなったのを見逃さず、左足を振りぬきました。
ボールはゴール右ポストをかすめてネットを揺らし、
試合は0-3。
この得点がファビオ・ヴィエイラの
プレミアリーグ初ゴールとなりました。
試合を決定づけたアーセナルは堅実な試合を運び、
78分にトーマスに代えてロコンガ、
マルティネッリに代えてエンケティアを投入。
さらに、86分にはホワイト→冨安の交代で
試合を盤石に締めくくりに行きます。
驚きだったのは、90分+2分の交代。
ELチューリッヒ戦でゴールを決めたマルキーニョスが
19歳でプレミアリーグデビューを果たしたのと同時に、
U-17イングランド代表MFイーサン・ヌワネリが投入されます。
2007年3月21日生まれ、
15歳のヌワネリはプレミアリーグ史上最年少でのデビューとなりました。
アーセナルはそのまま0-3で勝利を収め、
シティ、スパーズを抑えて首位をキープしています。
試合のトピックス・注目ポイント
トピックス1:「復讐」を果たしたアーセナルの強さ
アーセナルは昨シーズンの敗戦から、
この試合で大きな成長を示しました。
この試合でアーセナルが示した強さを振り返っていきましょう。
①成長を続けるセットプレーの強み
5-3-2で深く守るブレントフォードに攻めあぐねたアーセナルですが、
コーナーキックからサリバのゴールで早々に先制点を奪えたことで、
試合展開がかなり楽になりました。
まさに、ブレントフォードのゲームプランを破壊する1点でした。
引いて守る相手に攻撃の糸口を見いだせず、
徐々にリズムを失ってカウンターで敗れるのは、
アーセナルがしばしば見せてきた負けパターン。
そういう時に、
試合の流れにかかわらずゴールを奪えるセットプレーは、
非常に大切なチャンスといえます。
これまでのアーセナルはセットプレーを苦手とするチームでしたが、
昨シーズンからは逆にセットプレーが強みに変わっています。
その要因として挙げられるのは、
アルテタ監督が昨年にマンチェスターシティから連れてきた、
セットプレーのスペシャリスト:ニコラス ジョバーの貢献です。
ニコラス・ジョバーの就任以降、
アーセナルのセットプレーの質は大幅に向上。
実際、昨シーズン(21-22シーズン)のアーセナルのセットプレーからのゴールは16ゴールで、
プレミアリーグで3番目に多い数字でした。
さらに、アーセナルは今シーズン、
セットプレーからすでに5ゴールを決めており、
これはリバプール、スパーズと並びリーグトップの数字です。
相手の作戦や試合展開にかかわらず得点を奪えるセットプレー、
アーセナルの武器は昨シーズンからさらに成長を続けています。
サリバ、マガリャンイスといった得点も奪えるCB陣も本当に頼もしいですし、
試合でセットプレーのチャンスが来たときはぜひ目を離さないようにしてください。
②引いた相手を崩す強さ
アルテタ監督のもとで攻撃的なフットボールを構築してきたアーセナルですが、
昨シーズンは引いた相手を崩しきれない場面が多々見られました。
ブレントフォードのような深く守る戦術を取られたときの対応策が、
シティやリバプールといった上位チームと比較してどうしても見劣りしていたのが実情です。
しかし、今シーズンのアーセナルは、
引いた相手を崩す力において大きく成長を見せています。
最大の要因は、ガブリエル・ジェズスの獲得。
彼の巧みなポストプレーやドリブルでの仕掛けは、
アーセナルの攻撃の流動性を増し、
引いて守る相手にも以前より得点を奪うことができるようになっています。
さらに、今シーズンはジャカが
インサイドハーフとして才能を開花させ、
抜群の攻撃センスを発揮をしていることも見逃せないポイント。
後述しますが、トーマスが中盤のディフェンスをきっちり担ってくれていることで、
ジャカが攻撃に専念できる環境になっていることも大きいですね。
それらが顕著に表れたのが、
ジャカのクロスに頭で合わせたジェズスのゴールです。
ジャカの攻撃センスと、ジェズスのボールを引き出す力がかけ合わさって生まれた、
今シーズンのアーセナルを象徴する素晴らしい得点でした。
また、プレミアリーグ初ゴールとなったファビオ・ヴィエイラのミドルシュートも、
この試合を決定づけるものでした。
今後、アーセナルが首位街道を走っていくとすると、
対戦相手がより守備的な戦術をとってくることは十分に想定されます。
そうなったときに、ヴィエイラのようなミドルシュートでのゴールが増えてくると、
アーセナルはより優勝に近づくはずです。
さらに欲をいえば、引いた相手を崩すためには、
SBの攻撃参加がより重要になってくるので、
冨安のプレーにも注目していきたいですね。
③トーマスのパフォーマンス
この試合で先発復帰したトーマス・パーティーは、
替えのきかない選手であることを改めて見せつけました。
ビルドアップではCBと前線のつなぎ役として、
相手のプレッシングを巧みにかわしながら攻撃を構築していく。
相手の2トップがトーマスを警戒して、
両SBにスペースが生まれてサイドから起点を作りやすくなる。
彼がいることで、周囲の選手がより生きてくる効果が生まれていました。
守備時には危険の芽を摘み取り、
ボールを奪ってすぐに攻撃へと展開していく。
トーマスが中盤での守備を支えていることで、
ジャカをインサイドハーフとして起用でき、
ジャカの攻撃センスで前線がさらに活性化しているのが、
今シーズンのアーセナルが好調な1つの要因です。
ケガ明けの万全ではない状態のなかで、
アンカーとして求められるプレーをこのレベルでこなせる選手は、
今のアーセナルには彼しかいません。
すくなくとも冬のマーケットまでは、
彼がどれだけケガ無く安定稼働できるかが、
試合の勝敗に大きく影響していくはずです。
トピックス2:【PL最年少デビュー】神童イーサン・ヌワネリ
この試合で大きな話題を呼んだのが、
「15歳181日」でのプレミアリーグ史上最年少デビューを果たした、
MFイーサン・ヌワネリです。
U-17イングランド代表にも召集されている彼の起用を、
アルテタは直感で決めたとのこと。
一方で、ヌワネリにはユナイテッドの両クラブや
リバプールが関心を示しているため、
彼の才能をキープしたいアーセナルが、
クラブとしての期待を示すためにデビューさせたという見方もあります。
実際、15歳の選手はまだ身体的も未完成ですし、
アルテタもすぐに戦力として起用していくことはあまり考えていないと思います。
ですが、それほどの逸材ならばぜひアーセナルで活躍してほしいと思ってしまうのが、
アーセナルファンというものです。
この試合ではプレー時間も短く
ポテンシャルはまだまだ未知数ですが、
今後の活躍が楽しみな選手がまた1人アーセナルに現れました。
サカやスミス=ロウのような活躍を、
長い目で楽しみにしていきましょう。
トピックス3:ブレントフォードFW・トニーとの煽り合い
試合後、マガリャンイスが発した1つのツイート。
Nice kick about with the boys. ⚽️❤️🤍 @Arsenal
— Gabriel Magalhaes (@biel_m04) September 18, 2022
Nice kick about with the boys.
これは昨シーズンの開幕戦後、
ブレントフォードFWトニーがツイートした言葉です。
トニーに煽られたアーセナルですが、
ホームでブレントフォードに勝利した際、
ラカゼットが相手にそっくりそのまま同じ言葉をツイートする意趣返しをしていました。
アウェーでのリベンジを果たしたマガリャンイスも、
同じようにトニーの煽りに対して意趣返し。
もしかすると今後もブレントフォード戦では同じような煽り合いが見られるかもしれません。
こうしたピッチ外でのバトルも
プレミアリーグを楽しむポイントの1つですね。
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現在の立ち位置と次の試合
前節、ユナイテッドに敗れたアーセナルですが、
試合延期によるブランクも乗り越えて
見事に首位(勝ち点18)をキープ。
試合内容もよく、
非常にポジティブな状況が続いています。
しかし、その後ろには勝ち点17で
無敗のシティ、スパーズが続き、
まったく予断を許さない展開です。
この試合の後に控えているのが代表ウィーク。
本記事作成時点で、
冨安やターナーがフル出場を果たした日本はアメリカに勝利していますが、
彼らがケガしないかばかりが気になってしまいますね。
代表ウィークはとにかく選手たちがケガしないことを祈って過ごすとして、
次に迎えるのがエミレーツでの
ノース・ロンドンダービー(NLD)。
アーセナルにとっては、何よりも重要な試合です。
スパーズはコンテらしく鋭いカウンターが脅威で、
ケインとソンフンミンには十分な警戒が必要になります。
アーセナルはユナイテッドに敗れているだけに、
ビッグ6同士の試合で結果を残せることを証明したいところ。
さらに、負ければ首位を明け渡すことになる、
まさに絶対に負けられない戦い。
代表ウィークでの選手たちの無事と、
アルテタ監督の万全の準備を期待して、
次節を楽しみに待ちたいと思います。
アーセナルファンにおすすめの書籍
現在のアーセナルの土台を築いた、
アーセン・ヴェンゲル。
彼の功績を知ることで、
アルテタ監督が率いる今のアーセナルを
もっと深く理解することができます。
アーセナルファンなら必読ともいえる書籍をご紹介しますので、
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