サイバーパンク都市を飛び回る配達ゲーム『Cloudpunk』レビュー

『Cloudpunk』とは?

『Cloudpunk』は2020年に発表されたドイツのインディーズゲームです。

2020年8月現在、Steam / Xbox One / PS4 / Switchなどでプレーすることができます。

プレー動画はこちら。

『Cloudpunk』をプレーしてみた!

先日のSteamのサマーセールで購入した『Cloudpunk』、

実際にプレーして面白かった点を紹介していきます。

①サイバーパンクな世界観

上述のプレー動画を見ていただければ、このことはすぐに実感できるはずです。

SF映画の名作にして、「サイバーパンク」という言葉のイメージを決定づけた
ハリソン・フォード主演の『ブレードランナー』(1982年)。

空中に映し出される巨大なホログラム、降り続く雨、
けばけばしいネオンに溢れる街中を闊歩するアンドロイド。
このゲームはまさしく『ブレードランナー』そのものと言っていい要素に溢れています。

イースタン半島から移住してきた主人公のラニアは、
非合法な配達会社「Cloudpunk」の運転手として、
この巨大な摩天楼都市「ニヴァリス」のあちこちを飛び回り、
走り回ることになります。

「HOVA」という空中を飛ぶ車に乗っている時は美しく輝いて見えるニヴァリスですが、
車を降りて実際に街なかを歩き回ってみると、
この街がネオンの光の届かない深い闇に覆われているということを感じられるでしょう。

街中には様々なものを取り扱う売人がウロウロしていたり、
得体のしれないジャンク品を拾うことができたり、
それらを売人に売りつけたりすることも出来ます。

また、『ブレードランナー』でデッカードがそうしていたように、
屋台でヌードルを食べることも出来たりします。

作中では終始雨が降り注いでおり、上空では紫色の雲が大きくうねり続けています。

街を飾り立て美しい光と、ディストピアらしい退廃的な空気に満ちた闇の対比は、
サイバーパンクの世界観が好きな人にはたまらないと思います。

②一筋縄ではいかないキャラクター達

さて、そんなサイバーパンクの要素に満ちたニヴァリスの街の中で、
ラニアは配達員として様々な人、アンドロイド、オートマタと出会います。

最初は「Cloudpunk」のオペレーター。
仕事に関する指示をしてくれる人物ですが、彼の素性は謎に満ちています。
暗い過去を感じさせる語り口の理由が、ストーリーが進むにつれて明かされていきます。

次に、HOVAに搭載されることになるAIの「カミュ」。
本来は犬のオートマタなのですが、犬のボディが高価で買えないため、
HOVAにインストールされています。

彼の純粋でとぼけたようなキャラクターはこのゲームの癒しとなっていますが、
一方ではプレイヤーの選択に対してグサッとくる一言を放つ鋭さもあり、
主人公の良き相棒としてゲームを通じて存在感を放ちます。

また、この街の裏社会で力を持つロモ、
危険なウイルスを蔓延させようとするハッカー、
さらわれた少女を救おうとする探偵アンドロイドのハクスリー、
そして街の背後に存在すると噂される巨大な人口知能「CORA」。
この辺りがゲームのストーリーにかかわるキャラクター達です。

そのほかにも、街中では様々なキャラクターと遭遇します。
ラップでしか話せない抗議活動中の男、
いなくなった恋人を探すボロボロのアンドロイド、
カルト教団から追い出された老人などなど、
そのいずれもサイバーパンク都市になら実在するかも?と感じさせる奇妙な人々です。

配達中の彼らとの会話もプレイヤーをこのゲームの世界観に没入させます。

もちろん、主人公のラニアについても同様です。
物怖じせず言うべきことは言う芯の強さを感じさせる彼女が、
なぜ故郷を追われニヴァリスにやってきたのか?
ストーリーの進展と共にこちらも明かされていきます。

③浮遊する「HOVA」の疾走感

このゲームは基本的には指定された地点に荷物を届ける配達ゲームで、
街中でのメインの移動手段は「HOVA」という空中を飛ぶ車です。

この車を駆って街中を飛び回るわけですが、
スピードに乗ってサイバーパンク世界を疾走する感じがかなり気持ちいい。

スピードの出し過ぎて車体をぶつけまくり修理費がかさんだことは数知れずです。

主人公のラニアが誰かを攻撃したり、
あるいは何か破壊したりというアクションは一切ないので、
HOVAの操作がこのゲームで唯一のアクション性といってもいいでしょう。

ちなみに、HOVAはショップである程度カスタマイズできます。

④雰囲気を高めるBGM

HOVAに乗っている際にはシンセサイザーのBGMがかかります。

これがまたサイバーパンクらしい雰囲気を一層高めてくれています。

こちらが『Cloudpunk』のメインテーマです。

そのほかにも、ディストピア感を強調するような重厚感のあるテーマや、
街中で時折漏れ聞こえてくるクラブサウンドなど、
BGMのクオリティも高い一作となっています。

『Cloudpunk』 感想まとめ

ここまで『Cloudpunk』のおすすめポイントをあれこれ書いてきましたが、
このゲームは実質的にはサイバーパンクの雰囲気を味わうアドベンチャーゲームです。

基本的には指定された地点までHOVAを飛ばすだけの単調な繰り返しであり、
配達ごとの評価もなく、制限時間のあるミッションはごくわずかです。

HOVAの操作感は楽しいですが、HOVAのカスタマイズ要素はあまりありません。

このように配達ゲームとしてはエキサイティングとは言い難いものの、
雰囲気を味わうアドベンチャーゲームとしては完成度の高さを感じました。

ニヴァリスのビジュアルはまさにサイバーパンクの世界観を体現したものになっていますし、そこにちりばめられた様々な要素もシリアスなものから笑えるものまで、
幅広くこの世界を味わえる作りになっているのではないでしょうか。

そして、各キャラクターの会話も機転の利いた面白さがあり、
個人的にはぜひ実写映像化してほしいと感じるようなクオリティのものでした。
各キャラクターの声も魅力的でしたね。

サイバーパンク好きの人におすすめしたい、
クオリティの高い世界観を持つゲームでした。

『ブレードランナー』、『フィフス・エレメント』を観た後にこのゲームをプレーする、あるいはその逆のパターンでも良いかもしれません。

今回は以上となります、それでは。