決算書を学びたい初心者におすすめ:川口宏之『決算書を読む技術』

【仕事・投資に役立つ】決算書の読み方を学びたい!

みなさんは日々の仕事や生活の中で、
このような悩みを感じたことはありませんか?

決算書に関するお悩み

・決算書の読み方を学びたいけれど、何から始めればいいかわからない
・会議の場などで、決算書に関する話題についていけない
・副業で株を買いたいけれど、どの株を買えばいいかわからない

私自身もメーカー営業として働いていたり、
副業として株式投資をしたりしているなかで、
このような悩みを感じる場面が数多くあります。

そんななかで見つけたのが今回の1冊です。

今回は私と同じような悩みや目的をもつ方に向けて、
川口宏之『決算書を読む技術』という本を紹介していきます。

『決算書を読む技術』の特徴

タイトルから分かる通り、
本書は企業の決算書を読むために必要な知識を教えてくれる本です。

決算書に関する解説本はいくつもありますが、
本書には以下の3つの特徴があります。

『決算書を読む技術』の3つの特徴

・図解視覚的に理解することで、難しい計算式を覚えずに決算書の本質が分かる
・難易度順に学ぶことで、理解度・定着度を大きく高めることができる
・決算書の背景にある経済活動を理解し、会計思考が身に着く

多くの図解によって視覚的に学ぶこと、難易度順で段階的に学ぶことで、
専門用語や計算式でつまずくことなく、
決算書のそれぞれの項目が持つ意味について理解を深めることができます。

著者の川口宏之氏は、監査法人や証券会社、
ITベンチャー企業の取締役兼CFO、会計コンサルティングファームなどを経て、
現在は公認会計士として会計に関する講習活動を行っている人物です。

そんな会計のプロフェッショナルによる、
初心者でもわかりやすく会計の知識を学ぶことができる1冊になっています。

本書の主な内容

財務3表を図に置き換えてみよう

本書の大きな特徴は、決算書の主要な項目を「図解」してくれる点です。

以下は財務3表の1つ、貸借対照表を図解したものです。

『決算書を読む技術』p64より

決算書は数字が並んでいるのみで概要が掴みにくいですが、
図解することでその構成が一目瞭然になります。

また、本書では図解・レベル1から順を追って解説されていくため、
大枠を理解して、徐々に詳細を理解していくことができ
財務諸表それぞれが持つ本質をスムーズに理解することが可能です。

もちろん、貸借対照表に加え、
損益計算書キャッシュフロー計算書も同じ流れで説明されており、
決算書の主要な内容を無理なく理解することができるようになります。

個人的に、キャッシュフロー計算書については、
図解することでかなり分かりやすくなっていると感じました。

さらに、それら財務3表の相関関係も「図解」で分かりやすく示されています。

実際の企業を例に挙げた説明もあり、
身近な企業の収益力やビジネスモデルが分かるのも興味深い点です。

ビジネスの流れが理解できる「取引フロー図」

本書独自の解説として、「取引フロー図」が用いられています。

具体的には、以下のような図です。

『決算書を読む技術』p132より

具体的には、会社を取り巻く様々な利害関係者を分類し、
会社の経済活動をより分かりやすく理解できるようにするための図
です。

取引フロー図によって、次のような内容も理解できるようになります。

「取引フロー図」で理解できること

・ビジネスの流れ
・収益と利益の違い
・黒字倒産が起こる理由
・キャッシュフロー経営の基本

本書ではこれがさらにレベルアップして、
「タイムライン型取引フロー図」が登場します。

これによって、前金ビジネス即金ビジネス直送取引ビジネスといった、
ビジネススキームの違いによるリスクの違いが分かるようになるなど、
ビジネスというもの全般への理解を深めるのに役立つ知識が得られます。

この観点から分析する「Apple成功の理由」も面白かったので、
ぜひ本書で読んでみてほしいです。

財務分析指標で経営状態を分析する

さて、企業の経営状態を示す指標として、
以下のような指標を聞いたことはありますでしょうか。

『決算書を読む技術』でわかる財務分析指標

・BPS
・EPS
・ROA
・ROE

本記事ではそれぞれの指標の意味の説明は割愛しますが、
言葉だけではなかなか理解しにくいこれらのような指標も、
本書では図解で説明されています。

これらを算出する計算式において、何が分母で何が分子で・・・
ということを覚えるのはなかなか大変ですが、

図を使用してビジュアル的に記憶することで、
より効果的に、効率的にその内容を理解することができます。

決算書を使って割安株を探す

最後は、副業で株をやっている人、
もしくはこれから挑戦したいと考えている人、どちらにも役に立つ内容です。

この章で説明されていることを知ることで、
いまこの株を買うべきか、と判断するときに、
参考とすべき次のような指標について理解することができます。

『決算書を読む技術』でわかる株価に関する指標

・PBR
・PER
・PCFR

財務諸表を用いて企業の収益性・安全性・生産性・成長性を分析する手法は、
「ファンダメンタル分析(財務分析)」と呼ばれる代表的な分析方法です。

決算書を理解できるようになれば、
投資する際にファンダメンタル分析の視点を持つことができ、
何も知らなかったときよりも投資の成功確率を高めることができるのでないでしょうか。

『決算書を読む技術』を読んで変わったこと

日々の業務が持つ意味を理解できた

営業として働いていると、「回収サイト」「在庫調整」といった言葉、
あるいは企業の買収に関するニュースを聞くことが多くあります。

なぜ顧客と回収サイトを短くするための交渉をするのか?

顧客が期末に在庫調整を行う理由は何か?

企業Aからの発注数量が減少している背景は?

こうした日々の業務で生じる疑問・問いに対して、
決算書という視点で考えることができるようになりました。

また、自分が行っている日々の業務が決算書上で持つ意味を理解できると、
仕事の質を高めるためのポイントを知ること、
ひいては日々の業務のやりがいにもつながります。

取引先企業の経営状態やビジネスモデルへの理解が深まった

取引先企業の状況を知ることで、交渉のためのアプローチを工夫することができます。

具体的には、納入している製品の値上げ交渉の場面において、
価格改定に比較的寛容な企業と、
非常にギリギリのところまで粘ってくる企業との違いを考えることがありました。

製品の付加価値が高く収益性も高い企業は比較的値上げに寛容な一方、
製品の付加価値が低く、価格勝負のビジネスをしている企業は、
原料価格の値上げを許容できないためギリギリまで食い下がろうとする。

考えてみれば当然のことではありますが、
そうした顧客のビジネスの収益性の違いを理解するうえで、
決算書
非常に役立ちます。

自分自身の経験のうえでも、
決算書を通じて相手のビジネスモデルや現状を理解し、
相手の立場に合わせてアプローチすることで、
製品値上げの進捗状況を改善することにつながりました。

株を買う時の判断材料が増えた

副業で株式投資を行うにあたり、
やはりどの株をいつ買うかというのは非常に悩ましいところです。

そうした状況で、PBR、PERといった指標については知っていましたが、
それらがもつ意味を十分には理解できていませんでした。

本書の図解によって、そうした指標について、
以前よりも本質的に理解することができるようになり、
自分なりの判断基準を作っていくことにつながっています。

今のところ個人的に満足できる投資益を得られていますので、
こうした勉強は継続していきたいと思います。

まとめ

『決算書を読む技術』について、様々なポイントを伝えてきましたので、
最後に本書のポイントをまとめます。

『決算書を読む技術』のポイント

・図解で視覚的に理解することで、難しい計算式を覚えずに決算書の本質が分かる
・難易度順に学ぶことで、理解度・定着度を大きく高めることができる
・決算書の背景にある経済活動を理解し、会計思考が身に着く

・割安株を探すための手法が分かる
・自分がしている日々の業務が持つ意味を理解できる
・企業の経営状態やビジネスモデルへの理解が深まる

決算書を読む方法を知っておくことは、
仕事をする上でも、副業として株式投資をする上でも、非常に役立つ知識です。

決算書について学ぶ「入門編」として、
『決算書を読む技術』は非常に分かりやすいおすすめの1冊でした。

特に、経営について学びたい若手サラリーマン、
あるいは株式投資をこれから始めたいという人々におすすめしたいと思います。

それでは、今後も当ブログではおすすめの書籍を取り上げていきますので、
どうぞよろしくお願いいたします。

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