【名言6選】松下幸之助『道をひらく』~仕事に迷ったときに読みたい名著~

松下幸之助『道をひらく』:サラリーマンにもおすすめの一冊

松下幸之助『道をひらく』という本をご存知でしょうか。

松下幸之助は日本を代表する電機メーカー「Panasonic」の創業者で、
「経営の神様」と呼ばれた名経営者です。

彼は営利の追求だけでなく「人材の育成」「社会への還元」を重視し、
その経営哲学は後世の多くの経営者たちに影響を与えています。

「ユニクロ」で知られる柳井正、ソニーの創業者・盛田昭夫
ソフトバンクの孫正義など、
松下幸之助から多くを学び成功をつかんだ経営者たちは枚挙に暇がありません。

『道をひらく』は、そんな松下幸之助が、
自身の考えを非常に分かりやすい言葉でつづった、
ビジネス書であり自己啓発書です。

この世には無数のビジネス書がありますが、
『道をひらく』の初版は1968年

実に50年以上にわたって多くの人々に読み継がれてきた名著です。

今回はサラリーマン生活を少しでも向上させるためのヒントを、
松下幸之助『道をひらく』から探していきましょう。

サラリーマンに役立つ言葉が数多く記されている

この本が長く読み継がれてきたのは、
松下幸之助の考えが、決して経営者だけに役立つものではなく、
仕事をするすべての人にとって役立つエッセンスを含んでいるからです。

それはもちろん、会社に勤めるサラリーマンたちも例外ではありません。

『道をひらく』のなかには、

  • 仕事をする上での「責任」についての考え方
  • 他者と協力して物事に当たっていく際の考え方
  • 「決断」を行うときに考えるべきこと

といった、会社員として働くなかで非常に大切な事柄についての考え方が、
いくつも書き記されています。

『道をひらく』を読むことで、自身の仕事との向き合い方を見直すことで、
QOLの向上へとつなげていくことができるはずです。

ここからは、そのためのヒントとなる名言を6つ、実際に見ていきましょう。

『道をひらく』名言6選

「道」

自分には自分に与えられた道がある。
天与の尊い道がある。

本書のカバーにも記載されている、本書でもっとも有名な一節です。

自分がいま歩んでいる道が正しいかどうか、
迷ってしまう場面が誰にでもあるのではないでしょうか。

松下幸之助は、自分がいま歩いている道こそが、
天に与えられた道であると説いています。

それは「この道しかないから諦めろ」という諦念ではなく、
自分がいま歩いている道を懸命に歩くことが、
新しい道を開くためにもっとも必要なことだということです。

わき目をふらず、
1つ1つ今やるべきことに懸命に打ち込む重要性が、
本書の1番最初に書かれています。

また、松下幸之助は幼いころに父が米相場で破産し、
兄弟たちが相次いで病没、
松下幸之助自身も小学校を4年で中退して丁稚奉公に出ています。

現在のパナソニックを創業するまでの道のりも
平坦なものではありませんでした。

決して恵まれた境遇ではなかったなかで、
試行錯誤を繰り返し事業を成功させていった経験に裏打ちされた、
非常に重みのある名言といえます。

「サービスする心」

与え与えられるがこの世の理法である。
すなわち、自分の持てるものを他に与えることによって、
それにふさわしいものを他から受けるのである。

松下幸之助の経営哲学のなかに、「水道哲学」という思想があります。

端的に言えば、安くて良いものを、安定的に多く生産することで、
社会全体を豊かにしていく
という考え方です。

企業経営のあるべき姿を説いた彼の言葉は、
現代で言えばSDGsやコンプライアンス、CSRにも通じるものですね。

これは会社経営だけでなく、政治から個人と個人の付き合い方まで、
あらゆる人間同士の関係に言えることでもあります。

いち会社員としても、自身の得意分野を活かし、
それによって周囲に貢献することで、結果的に自分のもとにも帰ってくる。

逆に、周囲に何も与えないにもかかわらず、
自分がもらうことばかり期待する人
もいますが、
松下幸之助はそうした人をこの章で批判しています。

周囲が自分に何をしてくれるかではなく、
自分が周囲のために何ができるのか、
その点を常に意識する大切さを認識できる章です。

「判断と実行と」

いかに的確な判断をしても
それをなしとげる勇気と実行力とがなかったら
その判断は何の意味も持たない。
勇気と実行力とが、60パーセントの判断で
100パーセントの確実な成果を生み出していくのである。

仕事をするうえで非常に大切なのが、「判断する」ということです。

松下幸之助は経営者として、非常に厳しい判断を迫られる場面を数多く経験しています。

世界恐慌、第二次世界大戦、戦後の大不況、ダイエー・松下戦争
こうした数多くの危機を乗り切ってきたエピソードがいくつも残されています。

そんな松下幸之助が「判断」において非常に重要と語るのが、
勇気実行力です。

会社員として仕事をするうえで、判断に迷う場面は必ずありますし、
管理職、役員と役職が上がるにつれてその判断の重みは増していきます。

間違いが許されない状況も多いでしょうが、
松下幸之助はこの章のなかで、100%正しい判断はできないと断言しています。

100%正しい判断をしなければ、ではなく、
自らの60%の判断を実行する勇気覚悟を持つことが重要です。

「働き方のくふう」

働くことは尊いが
その働きにくふうがほしいのである。
創意がほしいのである。
額に汗することを讃えるのもいいが
額に汗のない涼しい姿も讃えるべきであろう。

松下幸之助にまつわる有名なエピソードとして、
日本の企業で初めて週休二日制を導入したことが挙げられます。

松下幸之助は米国視察で米国企業の能率の高さを目の当たりにし、
従業員の休養で1日、教養で1日のためとして、
1965年に週休二日制を日本で先駆けて導入しました。

ただがむしゃらに額に汗して頑張るのではなく、
働き方にも「くふう」を加えていく。

松下幸之助の先見性を感じるとともに、
他企業に先駆けて制度を導入するところに「経営の神様」と呼ばれる所以があります。

「敵に教えられる」

倒すだけが能ではない。
敵がなければ教えもない。
従って進歩もない。
だからむしろその対立は対立のままにみとめて
たがいに教え教えられつつ、進歩向上する道を求めたいのである。
つまり対立しつつ調和する道を求めたいのである。

企業間の競争にも、個人と個人の付き合い方にも適用できる考え方です。

競争や対立、意見の相違を避けようとすることも重要ですが、
そうしたところから互いに学びを得て互いに成長していく。

そうしたいわば良きライバル関係の重要性を説いた一節です。

権力を独占した政治、市場を独占した企業、
競争がない組織は容易に腐敗していきます。

個人でも、他者との競争をせず、自分が一番とおごっていては、
その後の成長は見込めません。

またこの章は、サラリーマンとして働くうえでは避けては通れない、
「嫌な相手」との付き合い方を考えるうえでもとても示唆に富んでいます。

「わが身につながる」

一見何の関係もなさそうなことでも、まわりまわってわが身につながる。
つながるかぎり、それぞれに深い自己反省と強い責任感が生まれなければならないであろう。

自分に関係のなさそうな事柄でも、まわりまわって自分につながっている。

それゆえに、どんなことも他人のせいにするのではなく、
わが身を顧みて、自分にできることはないか?と考える姿勢の重要性を説いています。

サラリーマンとして生きていくうえで、
何事も自分に関係がある、自分ごととして考えようとする意識を持つ人が増えれば、
社会はより繁栄していくだろうという、
社会への貢献を重視した松下幸之助の思想が反映された言葉です。

もちろん、強すぎる責任感はストレスにもなり得ますので、
サラリーマンとして生きていくうえでは、
自責思考と他責思考のバランスをうまくとることが重要ですね。

『道をひらく』は時代遅れの名著?

『道をひらく』は1968年に発行されたビジネス書ということで、
現代には合わない「時代遅れ」の名著ではないか?

そんな意見もちらほらと見受けられるようです。

確かに本書の中には、現代からするとやや時代にそぐわない部分も含まれています。

しかし、実際に本書を読んでみると、そうした部分は全体のごく一部であり、
ほとんどの内容に現在にも通じる価値があると感じるはずです。

特に、先ほど紹介した「働き方のくふう」という章では、
「額に汗して働く」ことが必ずしも尊いわけでなく、
むしろ日々の働きのなかで「楽をする」工夫の重要性が説かれていましたね。

高度経済成長期の「企業戦士」「モーレツ社員」というイメージとは異なる、
松下幸之助の先見性・柔軟性が感じられます。

いま改めて『道をひらく』を読むことで、
時代に左右されない本書の普遍的な価値を見出すことができるのではないでしょうか。

サラリーマンなら読んで損はない

さて、サラリーマンとして生きていくうえでのヒントとして、
ここまで本書のなかから6つの章を取り上げました。

しかし、本書には100を超える章があり、
今回紹介した内容はそのごく一部にすぎません

このほかにも数多くの示唆に富んだ名言が記されていますので、
サラリーマンの方々はもちろん、そうでない方々にもおすすめの1冊です。

文章長くなく言葉も易しいので比較的するすると読み進められると思います。

また、松下幸之助自身の生涯も非常に面白いですので、
興味のある方はぜひ調べてみてください。

それでは、今後も当ブログではビジネス名著を取り上げていきますので、
どうぞよろしくお願いいたします。

道をひらく (松下幸之助シリーズ) [ 松下幸之助 ]

価格:957円
(2022/5/27 00:33時点)
感想(202件)

道をひらく【電子書籍】[ 松下幸之助 ]

価格:850円
(2022/5/27 00:35時点)
感想(1件)

合わせて読みたい:文章を書くすべての人におすすめの1冊

【ブログに何をどう書けばいいか分からない人必読の書】田中泰延『読みたいことを、書けばいい。』