【アーセナルの試合を毎節レビュー】
フットボールの母国・イングランドに、
人々を惹きつけてやまないクラブがあります。
そのクラブの名は、アーセナルFC。
アーセン・ヴェンゲル氏が築き上げた栄光の時代から、
希望の見えない闇の時代を耐え抜き、
ヴェンゲル氏の系譜を継ぐアルテタ監督のもとで
再び黄金時代を迎えようとしています。
躍進と失速を味わった昨シーズンから、
再び頂点を目指すアーセナルの試合を、
当ブログでは毎節自由にレビューしていきます。
ヴェンゲル政権末期からのグーナー達に救いあらんことを。
【試合結果:3-1の勝利】
Read about Arsenal v Man Utd in the Premier League 2023/24 s…
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前節フルハムと引き分けたアーセナルは、
ホームにマンチェスターユナイテッドを迎えます。
シティが開幕4連勝を決めた状態で、
タイトルレースのためにも負けられない一戦です。
アーセナルはトーマスが負傷で欠場となり、
マガリャンイスが先発に復帰しました。
右SBにホワイト、左SBにジンチェンコが入る、
昨シーズンのお馴染みの形です。
一方のユナイテッドはGKに新加入のオナナ、
中盤にはエリクセンやカゼミーロ、
前線にはラシュフォードらが起用されています。
試合は26分、ハヴァーツの不用意な横パスがエリクセンに奪われ、
エリクセンからのスルーパスに抜け出したラシュフォードが、
ホワイトとサリバを相手にしながらシュートを決めきりました。
カウンターからの失点を許した直後、
左サイドで起点を作ったアーセナルは、
マルティネッリのクロスからウーデゴールが左足を振りぬいて、
早々に試合を同点に戻します。
前半を1-1で折り返したアーセナルは、
58分にエンケティアのパスからエリア内に侵入したハヴァーツが、
ワン=ビサカとカゼミーロに挟まれて倒され、PKの判定が下されます。
しかし、VARの結果判定は取り消され、
再び1-1のスコアで試合続行となりました。
拮抗した試合展開が続く中、
81分にはホワイトのクロスにサカがエリア内で合わせますが、
ややコースの甘くなったシュートはオナナに阻まれて、
アーセナルは大きな決定機を逃します。
88分、ジェズスからボールを奪ったユナイテッドが、
縦に鋭いカウンターを発動。
抜け出したガルナチョがラムズデールとの1対1を制し、
ユナイテッドに勝ち越し弾をもたらしたかと思われましたが、
VARでオフサイドの判定となり、
アーセナルは九死に一生を得ました。
試合が+8分のアディショナルタイムに突入すると、
90分+6分、アーセナルがCKを獲得。
サカのファーサイドへのキックを胸で受けたライスが、
ワンバウンドから右足を振りぬくと、
シュートはDFエヴァンズに当たってネットを揺らしました。
ライスの劇的な逆転弾に沸きに沸くエミレーツ。
その喜びをさらに爆発させたのが90+11分のジェズスのゴールでした。
ファビオ・ヴィエイラからのスルーパスに抜け出したジェズスは、
後方からのダロトのスライディングを完璧なフェイントでいなし、
右足でシュートを流し込みます。
歓喜と興奮の坩堝と化したエミレーツスタジアムで、
アーセナルはユナイテッドに3-1の逆転勝利を飾りました。
トピック① 本来のスタイルで
この試合、トーマスの負傷欠場もあり、
チームは昨シーズンと同じ戦い方を採用しました。
前節のフルハム戦での引き分けを受けて、
ホワイトを右サイドバックに戻し、
マガリャンイスを起用する並びを希望する声が出ていましたが、
この試合ではその布陣の価値が発揮されたといえます。
ホワイトが絡むことで右サイドの攻撃はより活性化し、
マガリャンイスは流石の闘争心を見せました。
特にガルナチョの飛び出しをオフサイドにした一瞬の判断は見事で、
チームを救ったプレーとして語り継がれることになりそうです。
この結果を受けて、
リスクを負ってでも戦い方の幅を広げることを模索するのか、
あるいは新たなスカッドで本来のスタイルを突き詰めていくのか。
アルテタ監督が今後どのような選手起用を行っていくのか、
その点が今後の非常に楽しみなポイントです。
トピック② VAR判定の問題
この試合では、ハヴァーツへのファールを巡ってのPK判定と、
ガルナチョの飛び出しに関するオフサイド判定と、
VARによる判定が試合のターニングポイントとなりました。
試合後にはテン・ハフ監督が苦言を呈していましたが、
リプレイを見てもこの試合のVAR判定にはそれほど疑問を感じませんでした。
当然、ユナイテッド側としては不満を抱くでしょうが、
ユナイテッド側に不利な判定ばかりだったという批判は適切ではありません。
これまでアーセナルが疑問符のつくVAR判定に苦しめられてきたことを思うと、
今後の試合でもVARの適切な運用に期待したいところです。
また、マガリャンイスのガルナチョに対するオフサイドトラップは、
結果的に素晴らしい判断になりました。
VARの導入によって生まれてくるプレーでもあり、
新しいルールに適応した名プレーでした。
やはり彼をベンチに置いておくのはあまりにももったいない。
いわんや、サウジ移籍をや。
トピック③ ライスの活躍とスカッドの充実、あとはカイ
この試合で語らざるを得ないのは、
デクラン・ライスという男についてです。
この土壇場で劇的な移籍後初ゴールを決め、
エミレーツに歓喜の渦を巻き起こしました。
ゴール後のスタジアムの雰囲気は何度見ても素晴らしい。
今シーズン、アーセナル史上最高額の移籍金でクラブにやってきた彼は、
ここまででも十分な存在感を発揮してきましたが、
このゴールが持つ意味は格別です。
この移籍が正解だったと証明するものであり、
ライスを過度なプレッシャーから解放するものにもなります。
今後もチームの中核として活躍していってくれるのではと、
非常に期待の高まる得点でした。
また、この試合でサブとして投入されたネルソン、ヴィエイラ、冨安らも、
信頼に足るパフォーマンスを見せました。
ヴィエイラは前節でも良いパフォーマンスを示していましたし、
サブの選手が成長し安定的な活躍を見せてくれている現状は、
チームのスカッドの充実を感じさせます。
CLとの並走は、主力選手だけで達成できるものではなく、
サブの選手たちの活躍が絶対に必要となりますし、
その点では非常に良い兆しが見えているといえます。
そうなると、あとはハヴァーツの活躍が待ち遠しいところ。
この試合ではPK獲得未遂などいい部分もあった一方、
決定的なチャンスで非常に残念なミスをした場面もありました。
アルテタ監督のフットボールへの順応には時間を要するため、
気長に彼の適応を待ちたいと思います。
現在の立ち位置と次の試合(日本時間)
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ユナイテッドはオナナを獲得し、
より洗練されたチームになりつつある様子で、
(もっとも、CBコンビがマグワイアとエヴァンズでは心許ないですが)
このタイミングで勝てたのは非常に価値のある結果でした。
さて、4連勝で首位に立つシティに続いて、
スパーズ、リバプール、ウェストハム、アーセナルが、
3勝1分けで並んでいます。
ちなみに、ユナイテッド、チェルシーは仲良く11位、12位。
まだリーグ戦は始まったばかりですが、
序盤から勝ち点を落とせない緊迫の展開が続きます。
これから代表ウィークが始まりますが、
グーナーとしては選手たちが無事にチームに戻ってくれることを祈るばかり。
また、トーマスは6週間の離脱との報道があり、
順調な回復を祈りたいと思います。
プレミアリーグ第5節 エバートンvsアーセナル【9月18日(月)0:30 KO】
代表ウィーク明けに迎えるのが、
グディソンパークでの一戦です。
4試合を終えて勝ち点1と苦しいスタートのエバートンは、
主力のイウォビがフルハムに移籍するなどスカッド面でも困難を抱えていますが、
そんな時こそダイシのチームには警戒する必要があります。
下位チーム相手に確実に勝利できるか、
代表ウィーク明けのアルテタ監督のマネジメントにも注目です。
また、チャンピオンズリーグの日程の関係により、
試合開始時間が変更となったことがクラブのHPで発表されています。
チャンピオンズリーグ GS第1節 アーセナルvsPSV【9月21日(木)4:00 KO】
いよいよ始まるチャンピオンズリーグの戦い。
昨シーズンELの舞台で戦ったPSVと相見える、不思議な巡り合わせです。
初戦を勝利で飾り、グループリーグ突破のための良いスタートを切れるでしょうか。
プレミアリーグ第6節 アーセナルvsスパーズ【9月24日(日)22:00 KO】
CL初戦の後に控える宿命の対決、
ノース・ロンドン・ダービー。
横浜Fマリノスを優勝に導いたポステコグルー監督は、
スパーズを早くも自分のスタイルに染めている様子。
昨シーズンは実に9シーズンぶりのダブルを達成したアーセナルですが、
今年も同じくダブルを期待したいところで、
まずはホームで勝利する姿を見せられるか。
プライドの上ではもちろん、
タイトルレースでも重要となる一戦ですので、
たらふく鶏肉を食らってアーセナルの勝利を祈りましょう。