【アーセナルの試合を毎節レビュー】
フットボールの母国・イングランドに、
人々を惹きつけてやまないクラブがあります。
そのクラブの名は、アーセナルFC。
アーセン・ヴェンゲル氏が築き上げた栄光の時代から、
希望の見えない闇の時代を耐え抜き、
ヴェンゲル氏の系譜を継ぐアルテタ監督のもとで
再び黄金時代を迎えようとしています。
躍進と失速を味わった昨シーズンから、
再び頂点を目指すアーセナルの試合を、
当ブログでは毎節自由にレビューしていきます。
ヴェンゲル政権末期からのグーナー達に救いあらんことを。
【試合結果:2-2のドロー】
Arsenal vs Bayern München 2023/24. All UEFA Champions League…
14年振りのCL準々決勝、
対戦相手は欧州のトップクラブであるバイエルン。
ビッグゲームを前に、
エミレーツスタジアムは大きな興奮に包まれています。
スタメンとなったのはGKラヤ、
DFラインにホワイト、サリバ、マガリャンイス、キヴィオル、
中盤にウーデゴール、ジョルジーニョ、ライス、
前線にはサカ、ハヴァーツ、マルティネッリの11人。
スタジアムにCLのアンセムが鳴り響いたのち、
いよいよ試合が始まります。
ボールを保持するアーセナルは、
ホームサポーターの後押しもあり、
開始12分に先制点を挙げることに成功します。
ホワイトのパスから、
サカの左足から放たれた弧を描くシュートが、
ファーサイドを打ち抜いた形での得点でした。
さらに、16分にはホワイトがGKノイアーと1対1となる場面が生まれますが、
シュートは惜しくもノイアーの正面。
大きなチャンスを逃したアーセナルは、
守備の綻びからバイエルンに同点弾を許してしまいます。
自陣でプレスを受けたマガリャンイスからキヴィオルへのパスが繋がらず、
バイエルンにボールが渡ると、
そこからゴレツカ→ニャブリという形でゴールを決められました。
同点としたバイエルンは30分、
ザネがドリブルでキヴィオルを抜き去ると、
そのままスピードに乗ってエリア内へ侵入。
アーセナル守備陣は後手を踏み、
最終的にサリバがザネを倒してPKの判定が与えられました。
このPKをケインが決め、
アーセナルは32分に逆転される結果に。
前半はここからスコアが動かず、
1-2で後半へと試合は進んでいきます。
アルテタ監督はハーフタイムで
キヴィオル→ジンチェンコの交代を実施しました。
しかし、バイエルンのディフェンスを崩すことはできず、
チームは66分にマルティネッリ→トロサール、
ジョルジーニョ→ジェズスという追加の交代を行います。
この交代が結果的に功を奏し、
76分、ジェズスがエリア内でのドリブルで敵を引き付け、
スペースに走り込んだトロサールのシュートがネットを揺らします。
2-2と同点にしたアーセナルは、
90分にコマンのポスト直撃のシュートなど危うい場面もありながら、
バイエルンに逆転を許さずに試合を進めていきました。
アディショナルタイムも終わろうかというとき、
サカがノイアーに倒される場面がありましたが、
PKの判定とはならず。
試合は2-2で終了し、
来週に控える2nd legを迎えることになりました。
トピック① CLでの経験値
この試合の焦点となったのは、
アーセナルのディフェンスの乱れでした。
リーグ戦では堅守を誇ったアーセナルでしたが、
この試合では失点につながるミスを2つも犯してしまい、
試合の流れをバイエルンに渡してしまいました。
普段通りのプレーができなかった背景には、
ザネという個人の優れた技量のほか、
CL準々決勝という大舞台のプレッシャーなどが考えられます。
ザネへの対策としては後述する左サイドバックの起用の問題があり、
大舞台でのプレッシャーへの対応としては、
少しずつチームとしての経験を積んでいくほかない。
その点、バイエルンはアウェーサポーターが埋め尽くすスタジアムで、
プレッシャーの影響を感じさせない
熟練の試合運びを見せました。
個人的に印象的だったのはMFのライマー。
ピッチの随所に顔を出し、
スペースがあればタイミングよくドリブルで持ち上がり、
アーセナルにとって嫌なプレーを冷静に実行していました。
総じてCLでの経験値の差を感じさせた試合ではありましたが、
アーセナルがこのレベルの戦いを多く経験していけば、
この試合でバイエルンが示したような、
落ち着いた戦いぶりを見せられるようになるはずです。
一方、トロサールのゴールで同点としたところに、
今のアーセナルの持つしぶとさ、
レジリエンスを見ることができました。
若いチームは成長も早いと思いますので、
1st legの経験を糧に次の試合に果敢に挑んでほしいと思います。
トピック② 左サイドバックの問題
アーセナルの守備の綻びの要因としては、
キヴィオルがザネの鋭いドリブルへの対応に苦慮した点がありました。
ザネの突破から守備陣を切り裂かれ、
PKを与えるに至ってしまったシーンは、
リーグ戦ではしばらく見ていないアーセナルの姿でした。
ブンデスリーガ屈指のアタッカーであるザネを抑えるのであれば、
対人に優れた冨安を起用するという手もあったと思いますし、
アルテタ監督がキヴィオルをスタメンで起用したのは、
結果的には失敗だったといえます。
ジンチェンコの投入以降はある程度チームは修正されていましたが、
今後左サイドバックの起用は悩ましいものとなりました。
キヴィオルの好調なパフォーマンスもあり、
左サイドバックは人材豊富と感じていましたが、
あえてネガティブなサイドに目を向けると、
ジンチェンコは守備に難があり、
冨安には怪我の不安がつきまとい、
キヴィオルには攻守に突き抜けたクオリティが不足している。
そうなると、まず期待したいのはティンバーの復帰。
今シーズンはこの3者をうまく起用しつつ、
来シーズン以降のメンバーがどうなるのか、
注目していきたいポイントです。
トピック③ 仕事人・トロサール
この試合、途中出場から同点弾を決めたトロサール。
チームで絶対的なスタメンではないというのが難しい立ち位置ですが、
それでも試合に出れば結果を出す、
今のアーセナルで間違いなくもっとも頼れる切り札です。
トロサールの素晴らしいところは得点への意識と、
フィニッシュの冷静さ。
先日のブライトン戦でのゴールも、
1対1の場面で非常に落ち着きを感じさせるものでした。
強いチームには勝負強い切り札がいるものですので、
引き続きトロサールの活躍に期待していきたいと思います。
現在の立ち位置と次の試合(日本時間)
2nd legはもう来週です。
2-2のドローですので、
アーセナルには十分に勝ち抜けのチャンスがあります。
アウェーゴールのルール廃止様々ですね。
以前のような絶望的な差は、
今はアーセナルとバイエルンの間にはないはずです。
ぜひ勝利して、さらなる高みを見せてくれることを楽しみにしています。
プレミアリーグ第33節 アーセナルvsアストンヴィラ【4月15日(月)0:30 KO】
さて、CLでの戦いに期待が高まりますが、
その前にリーグ戦で難しい試合が控えています。
エメリのチームにはアウェーで敗れていますので、
ぜひリベンジを果たしてほしいですね。
チャンピオンズリーグ準々決勝 2nd leg アーセナルvsバイエルン【4月18日(木)4:00 KO】
上述の通り、今シーズンのアーセナルがどこまでいけるのか、
アウェーで本来の実力を発揮できるよう、
画面越しに祈っています。