【マッチレビュー】プレミアリーグ第21節 アーセナルvsマンチェスター・ユナイテッド 【勝者のメンタリティ】

アーセナルの試合を毎節レビュー

当記事をお読みいただきありがとうございます。

このブログでは、
ヴェンゲル政権末期からのグーナーが、
プレミアリーグでのアーセナルの試合結果を
毎節レビューしていきます。

忙しくてなかなか試合をフルで観られない人でも、
この記事を読むだけで
アーセナルのトピックスがフォローできますので、
ぜひご一読ください。

今回の試合は、
2022-23シーズン・プレミアリーグ第21節、
アーセナルvsマンチェスター・ユナイテッドです。

試合結果

スタメン・試合結果詳細は以下リンクから。

Read about Arsenal v Man Utd in the Premier League 2022/23 s…

今シーズンのアーセナルがリーグ戦で唯一黒星を喫したのが、
マンチェスター・ユナイテッド。

9月の対戦のリベンジと、
今後のリーグ戦の行方を占うまさにビッグ・マッチです。

アーセナルはこの試合の前に、
ブライトンからベルギー代表のトロサールを
獲得したことを発表しました。

トロサールは早速この試合のベンチに入っています。

前半

試合はユナイテッドが高い位置から
強度の高いプレッシングをかけ、
アーセナルがそれを潜り抜けながら戦う展開になりました。

そんな中で、17分に先制したのがユナイテッド。

高い位置でパーティーのパスをひっかけたラシュフォードが、
そのままゴールへ向かって強烈に右足を振りぬいて、
ラムズデールも止められない勢いでゴール隅に突き刺しました。

この試合のラシュフォードは非常にコンディションが良く、
対峙したホワイトも19分にイエローをもらうような、
脅威のパフォーマンスでした。

しかしアーセナルも冷静なビルドアップでユナイテッドを押し込むと、
左サイドでジンチェンコ、ウーデゴールとボールを動かして、
ジャカがフリーでダイレクトのクロス。

そこにエンケティアが飛び込んで同点弾を決めます。

ボールと人が巧みに連動するゴールで、
24分に試合を同点としました。

その後はラムズデールの好セーブなどもあって、
互いに譲らず1-1で後半を迎えます。

後半

アーセナルはイエローカードをもらっているホワイトに代えて、
右サイドバックで冨安をハーフタイムで投入します。

52分にウーデゴールの魔法のような
左足の内→外ダブルタッチでのラストパス
から、
ジャカがゴールに迫るチャンスを作ったシーンで、
高まるエミレーツのボルテージ。

そこに53分、サカが右サイドからドリブルをしかけ、
エリア外から強烈な左足でのミドルシュート。

ボールはデヘアも届かずファーサイドに突き刺さり、
アーセナルが2-1と勝ち越しを決めます。

シーズンベストゴールにも挙げられるような
すさまじいゴールが生まれますが、
それでも今シーズンのユナイテッドは
簡単な相手ではありませんでした。

59分のコーナーキックから、
ラムズデールがキャッチしようとしてこぼれたボールに対し、
リサンドロ・マルティネスが、
下から突き上げるようなヘディングでネットを揺らします。

同点に追いつかれたアーセナルは、
その後もゴールに迫るシーンを作りますが、
ゴールを決めきることができません。

そんな状況で、
アルテタ監督は82分にトロサールを
マルティネッリに代えて投入します。

そして90分、そのトロサールの仕掛けから、
左サイドのジンチェンコにスルーパス。

ジンチェンコの折り返しに
ウーデゴールが飛び込んでディフレクトしたボールに、
エンケティアが背面の右足でわずかに触れて、
ネットを揺らしました。

あわやオフサイドか?
とVARの判定が入りますが、
主審のアンソニー・テイラーがゴールの判定を下すと、
エミレーツはスタジアムを揺るがす大歓声に包まれます。

土壇場でのエンケティアのゴールを
そのまま守り切ったアーセナルが、
3-2でユナイテッドとの大一番を制しました。

試合のトピックス・注目ポイント

トピック① エンケティアはもう不安要素ではない

この試合で同点弾と劇的な勝ち越し弾を決めた、
エディー・エンケティア。

ワールドカップでの負傷によるジェズスの不在が、
後半戦のアーセナルの大きな不安要素だと考えられていたなかで、
非常に素晴らしいパフォーマンスを発揮しています。

もともと彼はオーバメヤンやラカゼットの陰で
十分なプレータイムを得ることができず、
試合に出たとしても低調なパフォーマンスで、
退団濃厚とさえ言われていました。

エンケティアに対する評価が大きく変わったのは、
昨シーズン4月21日のチェルシー戦です。

アーセナルはクリスタルパレス、ブライトン、サウサンプトンに3連敗し、
CL出場権争いで非常に苦しくなっていました。

そんな中で迎えたチェルシー戦で、
エンケティアが2ゴールを決めて、
チームの悪い流れを変える勝利をもたらしました。

その後の活躍も含めて評価を高めたエンケティアは
大方の予想に反して契約延長を勝ち取りますが、
今シーズンジェズスが新たに加入して、
再びサブとしてプレーを続けることになります。

普通ならばチームから評価されていない、
と退団も視野に入るような状況のなかで、
エンケティアはあきらめずにチャンスを待ち続けました。

そして、ワールドカップ終了後のリーグ戦では、
巧みなボールの受け方やエリア内での動き出しで、
チームの攻撃を活性化させる、
アーセナルにとって欠かせない選手であることを見せつけています。

彼が計算できるFWとして成長したことは、
アーセナルというチームに大きな勢いをもたらしている
大きな要因の1つです。

彼を信じて14番という重みのある背番号を与えた
クラブの判断もまた素晴らしいと思います。

彼がいまの素晴らしいパフォーマンスを
このままキープしてくれることを期待していますし、

ジェズスが復帰したときに、
エンケティアとどう併用していくのか、
アルテタの戦術も楽しみです。

トピック② ジンチェンコがもたらした勝者のメンタリティ

3点目となる勝ち越し弾が決まり、
VARでゴールが認められた瞬間、
ジンチェンコはすべてのサポーターの喜びを
自ら体現するような雄たけびを上げました。

多くのファンの心をつかんだモーメントだったと思います。

ジンチェンコはサイドバックというポジションながら、
ピッチを神出鬼没に駆け回り、
高いパスセンスと縦への突破力、
巧みなボールコントロールでチームの勝利に貢献しました。

右サイドバックの冨安から左サイドバックのジンチェンコへ、
中盤の近い位置でパス交換する、
ポジションフリーなシーンもこの試合では見られましたね。

マルチロールな彼の存在が、
アルテタが目指す攻撃には不可欠だということを、
改めて示すパフォーマンスでした。

印象的だったのは、試合後の彼のコメントです。
以下の記事から一部抜粋します。

【欧州・海外サッカー ニュース】プレミアリーグの歴史において、アーセナルがシーズン前半戦を消化した時点で勝ち点50に到達…

「(昨夏)加入したばかりの頃、そのクオリティの高さに驚いたんだ。
もちろんアーセナルはどんなチームか知っていたけど、それでも驚いたよ。
僕らには特別なことを成し遂げるためのすべてがあると悟ったんだ。
だからこそ、ロッカールームで『みんな、トップ3や他のことは忘れよう。
俺たちは優勝について考えなきゃいけないんだ』って話したんだ

何人かは笑っていたよ。でも、今は誰も笑わない。
みんな夢見ているんだ。でもさっきも言ったけど、まだ試合はたくさんある。
ユナイテッドが帰ってきたことも見ただろうし、シティは常にそこにいる。
何が起きるかわからないけど、一歩ずつ進んでいこう」

これはまさに、
彼がチームに勝者のメンタリティをもたらしたことを
伺える内容ではないでしょうか。

今シーズンのアーセナルが、
先制されても逆転勝利を目指して戦い抜けるチームになった要因が、
ジンチェンコのコメントから垣間見えるようでした。

トピック③ トロサールの加入で広がった戦術的オプション

注目を集めたのが、
得点が欲しい場面で82分に投入されたトロサール。

ブライトンでの実績があるので、
あまり不安感はありませんでしたが、
短い時間でドリブルスキルの高さやキープ力、
判断力をうかがわせるプレーを見せました。

マルティネッリは今シーズン
かなり印象的なプレーを続けている一方で、

ワールドカップの疲労だったり、
対戦相手にドリブルを警戒されたりで、
直近の試合では思うようなパフォーマンスが
出せていない印象もあります。

そこに実力十分なトロサールが加わったことで、
マルティネッリの疲労軽減および
モチベーションのさらなる向上
が見込める状態になりました。

1試合のそれも短い時間で騒ぎすぎかもしれませんが、
相手チームも終盤に
トロサールが出てくるのは嫌でしょうし、

アーセナルにとって懸念だった
戦術的オプションの乏しさを解消できる
素晴らしい補強
になったように感じます。

アルテタの今後の攻撃面でのアレンジを、
楽しみにしていきたいと思います。

余談 ロシツキー来訪!

この試合、ユナイテッド側は
サー・アレックス・ファーガソンや
デイビッド・ベッカムがスタジアムに姿を見せましたが、

アーセナルのレジェンド・ロシツキーも訪れていたようです。

ロシツキーはいまも若々しいですね。

先日のムッシュ・ヴェンゲルに続いて、
OBたちがスタジアムに姿を現してくれると、
クラブの雰囲気がどんどん良くなっているような感じがしますね。

現在の立ち位置と次の試合(日本時間)

プレミアリーグの順位

ユナイテッド戦を勝利で終えて、
アーセナルは首位をキープしています。

19試合、ちょうどリーグ戦の半分を終えた段階で、
アーセナルは勝ち点50。
超単純計算で勝ち点100ペースとなっています。

無敗優勝を達成した03-04シーズンのインビンシブルズが、
26勝12分で勝ち点90だったことを考えると、
今のアーセナルはインビンシブルズを
越えているのかもしれません。

また、1試合少ない状態でシティとは勝ち点差5、
ニューカッスルとユナイテッドと勝ち点差11と、
他チームとの勝ち点差もキープしています。

もし試合結果が引き分けや敗戦だった場合、
シティやユナイテッドの肉薄を許していたと思うと、
本当に大きな意味を持つ勝利だったなと感じます。

スパーズとのダービーに続き、
大きな勝利を掴んだアーセナルの姿を見ると、
どんどん高まる優勝への期待を抑えきれませんが、
戦いはまだ折り返し地点。
まだまだ予断を許さない状況が続きます。

そんな中で次に迎える試合が、
シティとのFAカップ4回戦です。

FAカップ4回戦 マンチェスターシティvsアーセナル【1月28日(土)5:00 KO】

アーセナルがまだリーグ戦で対戦していない、
マンチェスターシティとの闘いがこのタイミングで待っています。

アーセナルが優勝するために、
シティは必ず乗り越えなければならない相手。

FAカップも重要なタイトルではありますが、
リーグ戦よりもプレッシャーは少ないはずです。

個人的には、この試合の結果そのものよりも、
この試合でアルテタ監督が何を試し、何を得て、
負けられないリーグ戦に向けて準備をしていくのか、
その点に注目していきたいと思います。

プレミアリーグ第22節 エバートンvsアーセナル【2月4日(土)21:30 KO】

2月の初戦がアウェイでのエバートン戦です。

ランパード監督のもとで一時は浮上したエバートンですが、
直近5試合では1分け4敗と低調な状況で、
20試合を終えて19位に沈んでいます。

順当に行けば勝てる試合ですし、
今シーズンのアーセナルには
変な取りこぼしはしない安定感がありますので、
ここは盤石な勝利を期待しています。

アーセナルファンにおすすめの書籍

現在のアーセナルの土台を築いた、
アーセン・ヴェンゲル。

彼の功績を知ることで、
アルテタ監督が率いる今のアーセナルを
もっと深く理解することができます。

アーセナルファンなら必読ともいえる書籍をご紹介しますので、
興味がある方はぜひ以下リンクより手に取ってみてください。

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